菊谷 なつき氏インタビューの裏側

なつきさんにインタビューを行う数日前、Hyper Japanで仕事をしているというなつきさんのもとを初めて訪ねた。
(Hyper Japanとは何?という方はこちらをご覧ください。)

初めましての挨拶もそこそこに、なつきさんが会場で行う日本酒に関するセミナーを見学させてもらった。

菊谷なつき氏

日本に興味があるイギリス人に日本酒の特徴やおいしい飲み方、実際の試飲等を行うセミナーと日本酒に合う料理の作り方を実演で紹介するセミナーの2つを見た。

そこで、お客さんを夢中にさせる彼女のプレゼンテーションに感銘を受けた。

堂々と流暢な英語で話し、日本酒の奥深さをストーリーだてて紹介し、ユーモアを交えながら決して飽きさせない。

彼女の蔵元が400年近く続いていて、そういう蔵元が日本にはたくさんあるという話を聞いて、イギリス人がざわついた時は自分のことではないけど日本人として誇らしかった(笑)

そして、日本酒が素人でかつ英語が得意ではない私でもだいたいわかる表現やしっかりまとめられた内容で、日本酒ならではの難しい説明にはイギリスのお酒やワインで例えてくれるからイメージもしやすい。

菊谷なつき氏

何よりすごかったのは、お客さんの反応に合わせてその都度説明を変えていたこと。

実はセミナーで私の隣に座っていたイギリス人と仲良くなったのだが、彼の顔つきがすごくわかりやすくて、説明でわかりづらいと顔をしかめるし、話に引き込まれると前のめりになる。

その彼がわかりづらそうにしていて、「あ、ちょっと今のところ難しいんだな。」と思っていたら、すかさずなつきさんからの補足が入る。

もちろんなつきさんは彼を見ていてそうしたのではないが、全体の空気をその都度感じながら説明の仕方を変えていることがすごく伝わってきた。

最後の質問コーナーでも質問者が笑顔になるまで色んな表現を使って回答を届けようとしていた。

菊谷なつき氏

「伝える」とはまさにこういうことだなとしみじみと感じた。

「日本酒は一度も飲んだことがない。」「日本酒ってお米からできているの?」「そもそもお米ってどう作っているの?」という彼らでもわかるような言葉を選ぶ。

日本酒を詳しく知らない日本人向けのプレゼンでも大変だろうが、バックグラウンドが全く違う相手にプレゼンすることがどれだけ大変だろうか。
同じことを伝えるにしても、最適な表現は相手によって違っていて、それをやり取りしながら探して最終的に相手に届けて伝えきる。
これぞコミュニケーションであり、それをこの大舞台で行っている姿は本当にすごかった。

 

なつきさんはインタビューでおっしゃっていた。

「日本酒に恋する人を一人でも増やす。」

この会場でもお酒に恋するイギリス人がまた生まれただろう。

 

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