犯罪件数が15分の1に!?日本の交番が大活躍!

ブラジルのワールドカップでは、盗難事件が頻発し、デモやらストやらも起こってブラジルの治安は大丈夫なのか?と心配した方も多いだろう。
確かに、はっきり言えば日本のように安全とは言えない。
ブラジルの殺人事件の被害者は年間約5万人に上り、日本の殺人件数が年間約1000件と比べると人口比を考えてもその危険さがわかるだろう。

余談だが、私が初めてブラジルのサンパウロに来た日、空港に深夜到着した。
幸運にも機内で知り合ったサンパウロに住む日本人駐在員の方に、運転手付きの車でホテルまで送っていただけた。

そこでまず驚いたことが。

「この車は防弾車で、7発までは銃撃に耐えられるんですよ。」

…え、銃撃!!??

さらに赤信号が見えるとかなり手前でスピードを緩め出し、決して停車はしないように走り続ける。

理由を聞いたところ、

「止まると襲われる可能性があるから」

とのこと。
信号待ちで強盗に襲われることは実際によくある事件であり、どの車も同じように決して止まらない。

こうして、初めてのブラジル滞在は衝撃的なスタートとなった。

 

少し前置きが長くなったが、そんな治安状況も実は以前に比べればかなり改善している。
1999年には10万人あたり35.27件だった殺人事件の発生率が、2010年には10.47件まで低下したという。
世界平均は10万人あたり10件であり、現在はすでにこれを下回っている。(ちなみに、アメリカ4,2件、フランス1,1件、韓国2,6件、日本0,4件。)

その改善に向けた取り組みの一貫として、実は日本の交番システムが導入されていたことをご存じだろうか。

1997年から日本を参考にした交番が設置され始め、2005年からはブラジル政府からの依頼を受けたJICAが中心となって日本の交番制度の直接的な普及活動も始まった。

ブラジル全土ではすでに12の州で導入され、サンパウロ州に至っては約270箇所の交番が誕生している。

ブラジルの交番

引用元:JICAホームページ  http://www.jica.go.jp/topics/news/2014/20140609_01.html

そして効果は着実に出ているという。
ある交番の管轄区内では約10年前に比べ、犯罪件数が15分の1以下になったという。

日本式交番を設置するメリットとして以下がある。

①常に警察官が近くにいることで犯罪の抑止につながる
②普段からおまわりさんが街の人々と信頼関係を構築し、事件そのものが起こらないようにする

これまでの警察のスタイルは犯罪が起こった際に警察署から出動、もしくはすぐに駆けつけられるようにパトロールを行うといったものだった。
それが交番を設置することによって、住民のすぐそばに常駐し、顔の見える関係を築いて犯罪を「予防」するスタイルに変わったのだ

「犯罪は対処するものではなく、予防するもの」

日本人ならこの感覚が当たり前と思うかもしれないが、実は海外だと珍しい考え方になる。
この発想の転換を日本の交番システムがもたらしたのだ。

現在、この交番システムはブラジルからさらにラテンアメリカ全体にも広がっている。

JICAの記事

旅をしていても感じるが、日本は圧倒的に治安がいい。
なぜそのような環境が作れているのか、そこにはこれまで築いてきた日本ならではのアイディアや考え方があるのではないだろうか。

世界に誇るべき治安の良さをもっと海外に発信してくべきだろう。

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